自己効力感を高める方法

自己効力感を高める前に知っておきたいこと

自己効力感は、生まれつき決まっている性格ではありません。働きかければ育てられます。

ただし、やみくもに「自信を持とう」と言い聞かせても変わりません。バンデューラは自己効力感が4つの源泉から形成されるとしており、高める方法もこの4つに整理できます。順番に見ていきます。

その前に、押さえておきたい前提が2つあります。

前提1:自己効力感は課題ごとに異なる

「自己効力感が低い人」というものは、厳密には存在しません。「この場面で低い」があるだけです。

仕事では高いのに人前で話すときは低い、といったことは普通に起こります。ですから最初にやるべきは、どの場面で低いのかを特定することです。対象がはっきりしないと、打ち手も決まりません。

前提2:土台となる自己肯定感を確認する

自分の存在を認められていない状態で「できる」という確信だけを積み上げようとしても、長続きしません。失敗したときに、能力への疑いが存在の否定にまで及んでしまうからです。

うまくいかないときに「自分はダメな人間だ」というところまで落ち込むようであれば、先に自己肯定感との関係を確認してください。

4つの源泉にそって高める

1. 成功体験を「設計する」

4つのなかで最も強く自己効力感を高めるのが、自分でやってできたという経験です。ただし、ここには落とし穴が2つあります。

ひとつは、簡単すぎる課題では効力感が育たないこと。努力せずにできたことは「自分の力でやり遂げた」という感覚になりません。

もうひとつは、繰り返しの失敗はむしろ自己効力感を下げること。「挑戦させればいい」という発想は、失敗が続けば逆効果になります。

そこで必要なのが設計です。

  • 大きな目標を、達成できる単位まで分解する
  • 少し努力すれば届く難易度に調整する
  • できたことを、その場で確認する(記録に残すと効果的です)
  • 難易度を段階的に上げていく

「毎日30分運動する」が続かないなら、「まず5分」から始めます。小さすぎると感じる単位から始めるのが、結果的に速い方法です。

2. 代理体験を得る

自分と似た立場の人が、その課題をやり遂げるのを見る経験です。「あの人にできたなら、自分にもできそうだ」という見通しが生まれます。

重要なのは「自分と似ているか」です。遠くかけ離れた成功者の話は、かえって「自分とは違う」という結論を強めてしまいます。

  • 同じ部署、同じ経験年数の人の例を探す
  • 完成形ではなく、つまずきながら進んだ過程を知る
  • 少し前の自分と近い状況にいた人に話を聞く

職場でメンター制度やペア制度が機能するのは、この代理体験が働くためです。

3. 言葉のかけ方を変える

周囲からの「あなたならできる」という言葉は、自己効力感を支えます。ただし単独では効果が長続きせず、根拠がなければ逆効果にもなります。

実際には難しい課題を「できる」と言われて失敗すれば、自己効力感はかえって下がります。声をかける側が意識したいのは次の点です。

  • 結果ではなく、具体的な行動や工夫をほめる
  • 「すごい」ではなく「ここをこう変えたから通ったね」と事実を伝える
  • できていない点を伝えるときは、能力ではなく方法の問題として扱う

自分自身に対しても同じです。「自分はダメだ」ではなく「この方法が合わなかった」と言い換えるだけで、次の行動が変わります。

4. コンディションを整える

疲れている、眠れていない、気分が沈んでいる——こうした状態を、人は「うまくいかない徴候」として解釈します。同じ課題でも、体調が悪い日は「できない気がする」のはこのためです。

  • 睡眠を確保する
  • 大事な判断や挑戦を、消耗している時間帯に置かない
  • 緊張を「失敗の予兆」ではなく「準備が整った状態」と捉え直す

精神論の前にコンディションを整えるべき理由がここにあります。自己効力感は、気力ではなく状態にも左右されます。

今日から始める3ステップ

  1. 場面を1つに絞る…「自己効力感を高めたい」ではなく「会議で発言する場面」まで具体化します
  2. 確実にできる単位まで下げる…「発言する」が重いなら「質問を1つ用意して持参する」まで下げます
  3. できたことを記録する…記憶は都合よく上書きされます。できた事実を残すことが、次の成功体験の土台になります

やってはいけないこと

  • いきなり大きな挑戦をさせる…失敗すれば自己効力感は下がります
  • 根拠のない励まし…裏切られたときの反動が大きくなります
  • 他人との比較で動機づける…能力の問題として受け取られやすくなります
  • 結果だけを評価する…過程の工夫が見えないと、何を再現すればよいか分かりません

効果を確認する

取り組みの前後で測定すれば、変化を数値で確認できます。日本語で使える尺度と選び方は自己効力感の測定尺度で解説しています。

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自己効力感を高める方法を詳しく

よくあるご質問

自己効力感は大人になってからでも高められますか?

高められます。自己効力感は生まれつきの性格ではなく、成功体験・代理体験・言語的説得・生理的および情動的状態という4つの源泉に働きかけることで育てられるものとされています。

最も効果があるのはどの方法ですか?

4つの源泉のうち、最も強く作用するのは自分で実際にやってできたという成功体験です。ただし簡単すぎる課題では効力感は育たず、逆に繰り返しの失敗は低下させます。少し努力すれば届く難易度に調整し、段階的に上げていく設計が必要です。

部下や子どもの自己効力感を高めるにはどうすればよいですか?

結果ではなく、具体的な行動や工夫をほめることです。「すごい」ではなく「ここをこう変えたから通ったね」と事実を伝えます。できていない点を指摘するときは、能力ではなく方法の問題として扱ってください。根拠のない励ましは、裏切られたときの反動が大きくなります。

何から始めればよいか分かりません。

まず場面を1つに絞ってください。「自己効力感を高めたい」ではなく「会議で発言する場面」まで具体化します。次に、確実にできる単位まで下げます。「発言する」が重いなら「質問を1つ用意して持参する」まで下げます。そしてできたことを記録します。

逆効果になるやり方はありますか?

あります。いきなり大きな挑戦をさせること、根拠のない励まし、他人との比較で動機づけること、結果だけを評価することです。とくに繰り返しの失敗は自己効力感を下げるため、「挑戦させればよい」という発想には注意が必要です。

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